新生HNA【パイレーツファクトリー】が業界に旋風を起こす 渡邊喜一郎社長インタビュー
- 2020/9/10
- インタビュー, キャラクターの学校
- パイレーツファクトリー, マスク, 鬼滅の刃
ご当地のキャラクターグッズなどを製造販売等する株式会社エイチ・エヌ・アンド・アソシエイツ(所在地:静岡県静岡市、以下HNA)は、「ダブルエル」グループに加入。代表取締役社長には〝ディズニー伝説のマーケター〟と呼ばれる渡邊喜一郎が就任し、屋号を「パイレーツファクトリー」として、新たな船出をしています。
時流に乗った「ますく屋」は大にぎわい、大ヒットキャラクター「鬼滅の刃」ご当地グッズは絶好調! さらに今後は「ディズニー」の雑貨商品の展開も予定されています。
ⓒ吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
渡邊喜一郎社長のインタビュー、同社の事業展開など、多面的にご紹介します。
【パイレーツファクトリー】 渡邊喜一郎社長 インタビュー
編集部:HNA社長就任の経緯を教えてください。
渡邊社長:HNAは2019年7月に、ジャパンコンテンツのグローバルライツマネジメント行う株式会社ダブルエルに過半数の株式を譲渡し、ダブルエルグループに加入しました。私は、そのダブルエルで役員をやっておりまして、このHNAの社長を任されました。
私はこれまで、東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランド社をはじめ、日産、NTT(日本電信電話株式会社)など、さまざまな企業でマーケティング等の知見を得てきましたので、その経験を生かして、更なる事業成長を目指します。
■渡邊喜一郎氏 略歴
1981年 4月 株式会社オリエンタルランド入社
1991年 4月 日産自動車株式会社入社
1995年12月 日本電信電話株式会社入社 マルチメディアビジネス開発部担当課長
1999年 4月 Universal Studios Recreation Supervision, Inc.
Vice president of Marketing.
2003年10月 株式会社トミー(現株式会社タカラトミー)入社 コンテンツ事業戦略本部副本部長
2006年 1月 株式会社ティーツーアイエンターテイメント (現株式会社タカラトミーフィールドテック) 代表取締役副社長
2008年11月 株式会社メディア工房取締役 常務執行役員
2012年 5月 株式会社 DELTA FORCE 代表取締役
2014年 3月 株式会社ワンオブゼム監査役
3月 株式会社ブロードリーフ社外取締役
2016年 3月 株式会社ワンオブゼム取締役
2017年 2月 株式会社 DYD 代表取締役
2019年 7月 株式会社ダブルエル取締役(現任)
株式会社エイチ・エヌ・アンド・アソシエイツ 代表取締役(現任)
編集部:まず、どのような改革をされたのですか?
渡邊社長:会社名はもちろんHNAのままですが、2020年2月から屋号を「パイレーツファクトリー(Pirates Factory)」としました。
由来は、海賊船に乗った宝箱。カリブの海賊やピーターパンの映画を観ていたら海賊船が出てきまして、海賊船には必ず宝箱がある。その宝箱には、みんなが欲しがる面白そうなもの、いいものがたくさん入っていそうなかんじがする。それで、パイレーツ(海賊) ファクトリー(会社)という屋号にしました。
とにかく楽しいことをやりたい。これは私の仕事のスタイルでもあります。
その思いから会社のビジョンとミッションも作成しました。ビジョンは「ワクワク ドキドキしたり、こころの良き想い出を具現化する」。ミッションは「感謝と喜びを忘れずに、幸せ、満足をご提供できるよう楽しい環境で、創造し続けます」。社員にもこれを伝えています。
最初の1年間は売上にとらわれず、様々なことに挑戦していきました。会社はもちろん利益を出さなければいけませんが、資金力は親会社のダブルエルにありますし(笑)、きちんとしたかたちで存続させるために、抜本的な改革が必要でした。
具体的には報告、連絡、相談を徹底して、情報は基本的にオープンにする。社員の働き方も色々と改革をし、今は自由で風通しの良い会社です。社員のモチベーションも高いですし、みんな楽しく仕事をしています。
編集部:続いて、商品展開について教えてください。
渡邊社長:昨年の秋、プレックスとTVアニメ『鬼滅の刃』のご当地グッズの開発に着手し、今年2月のギフト・ショーでは大々的に商品を発表し大好評でした。
5月には「鬼滅の刃」作品に登場するキャラクターが全国各地の有名モチーフと共に描かれた、ご当地限定メタルキーホルダーを発売。これも大ブレイクしてすでに約200万個を売り上げています。
再スタートの1年目から全国的にブレイクしたキャラクターの商品を作ることができたのは幸運だったと思います。
ご当地グッズは当社のDNAとして、今後も注力してまいります。
また、キャラクター商品では今後、ディズニーのグッズを展開していきます。当社の商品力を認めていただきまして、雑貨カテゴリーのライセンシーとしてディズニーと契約を結ぶことができました。
ライセンス商品を展開するにあたって、私が大切にするのはそのキャラクターの世界観です。ストーリーを大事にして、単に絵柄を印刷しただけというような商品は絶対に作りません。我々作るほうも楽しい、見た人も楽しい。そういうワクワクドキドキする商品を作ることにこだわっています。
そして、きちんとマーケティングをしてターゲットに向けた商品を送り出していく。マーケティングは今までのHNAに一番欠けていたものかもしれません。マーケティングの基本の4P(プロダクト、プライス、プレイス、プロモーション)を押さえて計算していけば、ターゲットが見えてきます。さらに購買のシチュエーションなども考えて、これは市場で受けるなというものを需要を見越して供給していきます。商品はどれも愛情を持って作ったものですから、供給過多で残してしまっては、商品が可哀想。それに資源を無駄にするようなこともしてはいけませんよね。
編集部:キャラクター以外の展開では?
渡邊社長:日本初となるファッションマスク専門店の『ますく屋』を7月11日から、ららぽーとTOKYO-BAY(千葉県船橋市)にオープンさせています。
コロナウィルスの流行が始まった当初、マスク不足が大きな問題となりました。それでも不織布のサージカルマスクの供給はすぐに追いつくだろうことは予測できたので、それならファッションマスクの専門店を作ろうと考えました。
現在マスクはすべての人に必要とされるものですが、約9割の人はサージカルマスクを使っています。柄や色を楽しむファッションマスクを使う人は1割にも満たない。ですがこれからは、色々なスタイルでマスクを楽しむ人たちが、もっと増えてくると思います。
一番の特徴であるファッション性に加え、洗って繰り返し使えるというエコな点も高い評価を得ています。
編集部:現在の時流に乗った展開ですね!
渡邊社長:スピード感というのもビジネスにおいて非常に重要です。ますく屋をやることを社内に発令したのが5月末。そして2週間後の6月15日にプレオープン、7月11日には約100種、5000枚のマスクを揃えて正式オープンいたしました。社員たちが驚くようなスケジュールでした(笑)
私はスケジュールを考えたらすぐにマイルストーンを置くんです(※マイルストーンは、プロジェクトを完遂するために重要な中間目標地点のこと)。まず「ますく屋」という名前を決めて、ブランドロゴの作成、それから海外からマスクの仕入れは可能かなど、海外とも打ち合わせもしながら進めていきました。
6月のプレオープンの段階ではマスクがまだ完全には揃わなかったので、「スニークプレビュー」というかたちでスタートしました。スニークは忍足という意味で、来店した人にしかわからないかたちで開店するということです。
そしてファッションマスク専門店「ますく屋」として正式にオープンするときには、店中にたくさんのマスクを揃えてインパクトを与える。「ますく屋」をどう知らしめるかということが、プロモーションとして重要なのです。
全国ネットのTV番組からも取材をいただき、たくさんのお客様に来店いただいています。オープンから20日ほどで約1万枚のマスクを販売しました。
おかげ様で全国からフランチャイズ加盟を希望する問い合わせもあり、今後はフランチャイズ展開も予定しています。またオンラインショップも準備中です。
実は、この「ますく屋」の店舗スペースは、私が社長に就任する以前から賃貸契約のあった場所でして、キャラクターのポップアップショップをやるのにも難しいエリアでした。このスペースをどうしようかと考えて、「ますく屋」をやろうと思いついたという経緯なんです。ですので店舗運営にはこだわらず、来年1月に賃貸契約が切れるタイミングで、この「ますく屋」は閉店する予定です。来年以降のマスク需要はまたその時点で判断をして、どういうふうにやるのがベストかというのを考えます。今はそのためのテストマーケティングの段階ととらえています。
編集部:新生HNAのこれからについて教えてください。
渡邊社長:パイレーツファクトリーとして生まれ変わって今期で2年目。
1年目は様々な問題点を解決するなかで、TVアニメ「鬼滅の刃」というヒットキャラクターに恵まれました。2年目はディズニーの雑貨ライセンスの契約ができたことが大きいですね。また、カプセルトイ事業も展開していきます。おかげさまで波乱万丈ながらも順調な滑り出しを切れたかと思います。
パイレーツファクトリーは、とにかく楽しいものを作っていきます。私が社員に伝えているのは「楽しく仕事をしよう」「心の込もった商品を作る」ということ。
その上で、マーケティングの4Pを実践しながら、世の中に楽しい商品を出していきます。
(取材日:2020年7月30日)
友人・古川愛一郎氏よりメッセージ
東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランド社に在籍していた時からの豊富な人脈も渡邊社長の武器。旧知の仲というソニー・ミュージックエンタテインメントの古川愛一郎氏に渡邊社長について訊きました。
古川愛一郎氏
ソニー・ミュージックエンタテインメント執行役員
ソニー・ミュージックソリューションズ 代表取締役
「喜一郎さんは東京ディズニーランドの開業に携わったという、素敵な経歴の持ち主。
彼がオリエンタルランド社に在籍した時代の後半(1980年代後半)からの、長い付き合いになります(当時、古川氏はソニー・クリエイティブプロダクツに所属)。
喜一郎さんが他の人と大きく違うのは、感動発進力が強いということ。
彼にとっては仕事そのものがエンタテインメントで、仕事ぶりや転身の仕方もドラマチック。既存のビジネスモデルにとらわれず、HNAから業界に新たなドラマを発信していってくれることを期待しています。」
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